仙台高等裁判所 昭和27年(う)41号 判決
(イ) 被告人の司法警察員に対する第三回乃至第六回各供述調書はいずれも刑事訴訟法第二〇三条所定の時間経過後の作成にかかわるものであることは所論のとおりであるが被告人並原審弁護人が原審公判廷において右各供述調書を証拠とすることに同意したことは記録上明らかである。かかる場合右供述調書が検察官の指揮に基ずいて司法警察官において作成したものであるか否を調査する必要なく、裁判所は単に供述された時の状況を考慮し相当と認めたときは証拠となるものであること一点の疑なく其の後右書類につき証拠能力がない等と主張するが如きは到底許容されないところである。
(中略)
(ロ) 弁護人は右被告人の第三回供述調書中に「それで私は昨日、本年十月三十日御署の警官二名と弘前市に出張して私が盜んだ家を捜したところ二十五軒がわかりました」との記載あることを捕え、右はその司法警察員固有の管轄区域外において捜査を為したものであるから違法でありその違法な捜査手続によつて作成された供述調書を罪証に供した判決は違法であるというのであるが右調書は青森市警察署に於て司法警察員工藤陽二によつて作成されたことは記録第七十二丁より七十八丁までの記載を通覧すれば容易に確認しうるところであるから其の記載内容に司法警察員の管轄区域外で捜査をした形跡が窺われるとしても右調書は司法警察員固有の管轄区域外における捜査手続により作成されたものというをえないことは明らかであつて該調査には所論のような欠缺はなく之を罪証に供した原判決には何等違法の点は存しない。
(後略)